2022.06.11

爽やかな風を浴びながら古民家カフェ巡り
房総半島の自然を全身で感じるサイクリングのすすめ

スポーツ

海と山、里山が魅せる四季折々の景色がひろがる房総半島は、初心者から上級者までが楽しめるサイクルスポーツのメッカです。徒歩ではまわりきれないエリアを自転車で丁寧に巡ることで、気になるスポットにふらりと立ち寄れるのはサイクリングならではの魅力です。

県央に位置し、都心からの移住先としても注目が集まる長柄町周辺には、そんな自転車で立ち寄りたい絶景や個性的なお店が目白押し。例えば、「リソルの森」から長柄町の南部までを一周するコース(走行距離約18.9㎞、想定所要時間1時間23分)内には、房総の豊かな自然と、民家をリノベーションしたカフェや食堂など、それぞれのオーナーが意匠をこらして創り上げたこだわりの空間が、訪れる人に居心地の良い豊かな時間を提供してくれます。

図)「リソルの森」から長柄町の南部までを一周するコース。写真は今回立ち寄ったスポット。


絵本カフェ「絵本のお家 sumica」

出発は「リソルの森」のホテル「トリニティ書斎」前から。リソルの森でe-bikeをレンタルし5.2km先の「長生き展望台」(千葉県長生郡長柄町山根)を目指します。標高差が最大で100mほどあるやや起伏が激しいコースですが、電動アシスト付き自転車ならば多少のアップダウンは軽々と乗りこなせます。

15分ほど走らせると、絵本をテーマにしたカフェ「絵本のお家 sumica」(長生郡長柄町山之郷226-6)に到着。1,000冊ほどの貯蔵のなかから季節や催事にあわせた絵本をとりあわせており、ページをめくりながら自家製の酵母パンプレートや 季節のおやつ 、薬膳ハーブティーを楽しむことができます。

県内外から絵本好きが集まり、なかには3~4時間ほど滞在する人もいるそうで、お店では、できる限りゆっくりと過ごしてもらうために完全予約制をとっています。

すぐ隣にはコーヒー専門店の「caffe macchinetta」もある。


全方位絶景!「長生き展望台」

穏やかな日差しと爽やかな風に吹かれながら「絵本のお家 sumica」を南下。端にオレンジのポピーやたんぽぽ、シロツメクサなどが茂る田畑の道を走り、竹林や雑木林をくぐりながら坂道を上り切ると、やがて、天気がよければ九十九里浜まで見渡せる絶景展望スポット「長生き展望台」に到着します。

敷地内には駐車場の他、「道の駅ながら・夢工房」や蕎麦店「ながら長生庵」があり、立ち寄って地元野菜やこだわりの自家製蕎麦を楽しむのもおススメ。一面に広がる「ながら長生庵」の蕎麦畑も見どころのひとつです。

「長生き展望台」からの眺望。

展望台の背後には「ながら長生庵」のそば畑が広がる。

春といえば筍。旬の野菜が揃う「道の駅ながら・夢工房」。


憧れの古民家カフェ・ギャラリー「夏庭」

展望台を下り、しばらく田園地帯を走らせると出会えるのがカフェを併設するアートギャラリー「夏庭」(長生郡長柄町榎本479)です。“なつにわ”とは、かつて夏休みに“おばあちゃんの家”だったこの家に遊びにきていたオーナー自身の思い出からつけられたもの。築150年になる農家をリノベーションした古民家はノスタルジーにあふれます。

版画作家であるオーナーが自身の作品を展示するために、毎年ゴールデンウィークのみ期間限定で一般公開していましたが、四季折々の風情も楽しみたいという声から2020年にギャラリーカフェをオープン。フリーWi-Fiが入っているため仕事場として活用するお客様もいるそう。床暖房も完備されているので寒い季節も快適です。

竹林の染み出し水と井戸水を家屋の周りを循環させている。暗渠を利用し治水がなされており湿気を感じず快適に過ごせる。

左から)夏庭オリジナルの「夏庭コーラ」、
季節のオリジナルドリンク「キウイとレモンのハーブビネガー」、
「完熟いちごのビネガーソーダー」


絶品、ダイニングカフェ「ey食堂」

最後は少々“レア”なお店へ。営業が水・木・金の平日のみ(しかも11:00~16:00)というダイニングカフェ「ey食堂」(長柄町山之郷482ー148)です。

自宅を改装してオープンさせたスタイリッシュなお店でいただく、旬の素材を使った週替わりメニューは絶品。平日のみの営業にも関わらず市内や県内からランチを食べに訪ねてくる人が絶えません。

休日や祝日も営業してほしいという声は多いそうですが、オーナーご夫妻には別の仕事もあり、今は両方をこなしながら料理を創作する暮らしがちょうど良いそう。「主人も私も忙しいけれど、料理を喜んでくれる方がいて、ここに来なければ出会えない人がいるのが幸せ」と奥様。残念ながら、料理はなくなり次第終了なので予約をおススメします。

皆が気軽に集まり繋がれる場になってほしいという気持ちから“食堂”と命名。

左から)「豚肩肉のトマト煮 ギリシャ風」「鶏もも肉のビール煮」「ラタトゥィユの冷製パスタ」。

お腹が満たされたとことで「リソルの森」へ帰還。いつの間にか日も暮れかけていて、ゆったりと1日を過ごすことができました。

一説によると長柄町周辺の田園地帯に残されている古民家は、養蚕を兼業せず米栽培のみで財をなした農家が多いそう。そのためか屋根が低く、ゆとりある間取りの平屋建てといった特徴があるようです。

房総には、このような古民家をリノベーションした趣ある店や宿泊施設がたくさんあります。休日には、せひ、お気に入りの一軒を探しに自転車を走らせてみませんか。


夏庭 千葉県長生郡長柄町榎本479
https://natuniwa.com/

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