2021.11.25

旨さと新鮮さの秘密は治安維持にあり
警備会社が提供する「房総ジビエ」とは?

カルチャー / グルメ

11月15日から翌年2月15日まで狩猟解禁期間です。(一部の鳥獣類を除く)栄養価が高くヘルシーなシカやイノシシといったジビエは男女問わず大人気。ジビエ料理は新たな地方創生事業のひとつとしても注目されています。

千葉県では、県内で捕獲されたシカやイノシシの肉を「房総ジビエ」としてブランド化。県内の飲食店で千葉県産ジビエ料理を提供しているほか、ジャーキーやチップス、カレーなどさまざまなご当地グルメとして展開中です。

1年前からジビエ料理を提供しはじめたという茂原市の日本料理「竹りん」では、新鮮で臭みのまったくないイノシシ肉が人気で女性からの注文も多く、ネット通販によるイノシシの精肉やハム・ソーセージの詰め合わせも好調だそうです。

鍋、肉団子、ハムなどさまざまなメニューでジビエを楽しめる「ジビエ御膳」(税込2,200円)。
※季節によりメニューの変更有り。

ジビエ牡丹鍋すき焼き。肉厚で食べ応えのあるイノシシ肉を堪能できる。

鮮やかな色艶のイノシシ肉のハムが味わい深いスープ。

ジビエはなんといっても品質と鮮度が命。捕獲後の管理がどれだけ徹底されているかが重要ですが、「竹りん」では提供するジビエを“警備会社のALSOK千葉(株)”から仕入れているそうです。

実は、千葉県ではイノシシ、シカ(またはキョン)などによる農作物被害が年間約4億円にのぼり深刻な問題となっています。7年前から地域支援の一環として害獣駆除事業に取り組むALSOK千葉(株)では、高齢化による捕獲従事者の減少や、捕獲した害獣の処理作業が面倒などの課題に一計を案じ、事務代行と獣肉処理をあわせた独自のスキームを提案。全国初の警備会社によるジビエの食肉処理場を立ち上げました。

捕獲後、土に埋めるなどして処理していたイノシシやシカを生きたまま譲りうける代わりに、市役所等への申告といった煩雑な事務手続きを代行。捕獲従事者らは市役所等から支払われる報奨金はそのままに、面倒だった害獣処理と事務手続きから解放され効率よく獣害駆除にあたれる一方、ALSOK千葉(株)は捕獲経路がはっきりとしたジビエが手に入る仕組みです。

地元捕獲従事者がしかけた罠にかかった30kg以上の野生シカやイノシシ。専用トラックで輸送する。

新鮮さを維持するため、工場に到着してから解体までを迅速に対応。

ラベリング作業。飲食店側は加工肉に付けられたQRコードで捕獲した日時や場所を確認できる。

真空包装し急速冷凍。

消費者に安心・安全な高品質ジビエを届けられるよう、金属探知はもちろん感染症の検査なども実施し、夜間には工房内をオゾンにより消毒します。また、捕獲場所はGPSを駆使して特定するなどトレーサビリティ(流通経路の追跡)も徹底されています。

「治安維持とジビエ料理がリンクするとは…まさか就職した当時は肉屋をすると思わなかった」と話すALSOK千葉(株)の皆さん。私たちが豊かな農作物をはじめ、休日に美しい自然や里山の風景を安心して楽しめるのも、地域を大切に想い見守ってくれる人達がいるからなのですね。

噛むほどに濃厚な旨みが口いっぱいに広がる「房総ジビエ」。取り寄せて家で満喫するもよし、新鮮なままに産地で楽しむもよし。ジビエでダイナミックな房総の自然を堪能してみてください。

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